【レポート】UX、デザイン思考、サービスデザインのための「現場で使えるカスタマージャーニーマップ入門」に参加してきました

【レポート】UX、デザイン思考、サービスデザインのための「現場で使えるカスタマージャーニーマップ入門」に参加してきました

Clock Icon2016.08.07

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こんにちは。kobayashi.miです。先日株式会社アイ・エム・ジェイさん主催で行われた、UX、デザイン思考、サービスデザインのための「現場で使えるカスタマージャーニーマップ入門」の様子をレポートします。カスタマージャーニーマップを作成するのは初体験。実際にやってみてつまずいたところも含めて、正直な感想をレポートしたいと思います。

イベント概要

2016年のワイワイCAFEでは、「UXデザインを学んでいるもののなかなか活かせず悩んでいる方」へ向けた、自分の仕事をデザインするためのセミナーを開催いたします。 今回はUXデザインの手技法でよく知られている、「カスタマージャーニーマップ」について取り扱います。
ワイワイCAFE初めての、カスタマージャーニーマップを題材としたセミナーとなります。
カスタマージャーニーマップは数年前から注目されており、「これはよい!うちでも使っていきたい!」と思われる方も多くいるのではないでしょうか?
みなさんの担当するモノやサービスは、ユーザーにとってリアルとデジタルを行き交う行動中のタッチポイントのひとつであり、"問題"や"ニーズ"などを明らかにしていくためには「カスタマージャーニーマップ」の手法は非常に効果的です。
そこで今回は実際の事業会社のサービスを題材としてご提供いただき、
・スタートアップ・デザイナーの方におすすめ!新規事業サービスチーム
・エンジニアの方におすすめ!インフラサービスチーム
にわかれ、5時間で2つのカスタマージャーニーマップをつくっていきます!
このセミナーでは実際にUXデザインを実務で取り組まれている、株式会社スタンダード鈴木智大氏を講師としてお招きし、カスタマージャーニーマップのコツを講義・実践を行います!

*詳しい内容はこちらをご覧ください。

ちなみに私は、・スタートアップ・デザイナーの方におすすめ!新規事業サービスチームの方に参加してきました。
実際のサービスを題材としているので、詳しい内容をお伝えできないのですが、
カスタマージャーニーマップとそのやり方について説明を受けた後、事業企画者からサービス概要を聞き、カスタマージャーニーマップの制作開始という流れです。カスタマージャーニーマップができたら、グループごとに発表し、事業企画者からレビューを受けます。

会場の様子

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参加者はデザイナー4割、エンジニア4割、事業開発系2割という感じに見えました。 私が一緒になったチームは、 ・コーダー ・デザイナー ・ディレクター兼デザイナー ・プロダクトデザイナー と私を入れた5名。1人経験者、それ以外の方は私を含めて初心者です。 当日割り振られたこのメンバーで、カスタマージャーニーマップを作っていきます。

講義

当日のスライドはこちらです。以下は講義の概要をまとめます。

イベントの目的
  • 「カスタマージャーニーマップを社内で実践できるようになる」
  •  カスタマージャーニーマップのプロセスを理解する
  • カスタマージャーニーマップ作成後のアクションを理解する
カスタマージャーニーマップとは?
ユーザーの行動を旅に見立てて、一連の流れを時系列に可視化したもの
カスタマージャーニーマップ作成の目的は
  • 新しい発見を得る
  • 分析をする
  • コミュニケーションとしての共通理解を持つ
    • チーム内の共通言語ができる
よくある誤解
  • カスタマージャーニーマップは現状を元に作るもの?理想を描くもの?
    • 現状分析型→今までのユーザー体験はどうだったか
    • 未来予想型→これからユーザーはどのような体験をするか
  • サービス視点→サービスがどのように利用されたか
  • ユーザー視点→全体の中でどんな可能性がありそうか
カスタマージャーニーマップの構成
  • 時間の流れ×関係する情報
  • 時間の流れ→利用前、利用中、利用後
  • ユーザー行動と行動に紐づく思考・感情の情報→ステップ、タッチポイント、行動、ユーザー情報、思考、検討事項、感情曲線(今回はこの7要素で作成)
    • 何の要素があったら自分たちは先に進めるのかを考えて、要素を選択する
悪いマップ・良いマップ
  • 悪いマップ
    • 1つの付箋を取り除いても前後が成立する
    • 資料置き場や机の下、引き出しに眠っている
    • 1人で作ってしまう
    • 調査なしで自分の想像て都合のいいように書いてしまう
    • 最初に作ってからそのまま
  • 良いマップ
    • 1つの付箋を取り除いて前後が成立しない部分がある
    • メンバーが毎日目にする場にあり、立ち止まって見る人がいる
    • 関係者を巻き込んで作成する
    • 調査にもとづいて作成される
    • 疑問を感じたり、検証できた際にアップデートされる
インタビュー
  • 検証型インタビュー
  • 発見型インタビュー(今回はこちら)
    • ユーザーの行動を聞き出す
    • 理由を聞く
    • 背景を聞く
インタビューのコツ
  • オープンクエスチョンをする(yes、noで終わらない質問)
  • オウム返しをする
  • 相手が話しすぎていたら相槌で自分のターンに持ってくる
  • 自分の仮説を確認するのではなく、新しい発見を得られるように質問する
  • 自分のターンは全体の1割くらいに制限
切片化
  • インタビューした内容を付箋に書き出す
  • 切片化のコツ
    • 話し言葉をそのまま書かず、内容が変わらない範囲で咀嚼
    • 主語と述語をセットで書く
    • andやorで繋がっている話は2つに分ける
    • もれなく書き出すことを重視して取捨選択は後でやる

ワークショップ

*当日のスライドの113枚目を参照してからよんでいただくと全体像がイメージしやすいと思います。

1.ユーザーインタビュー

ユーザーインタビューの前に、事業企画者から事業の説明を受けます(こちらは実際の事業なので、残念ながら内容はこちらに載せられません)。その後、インタビュアー、記録係、付箋修正係の3役に役割分担をして3人のユーザーにインタビューを行います。私たちのチームは、インタビュアー、サブインタビュアー、記録係、サブ記録係に分かれました。 私はインタビュアー、サブインタビュアー、記録係を担当しました。インタビューの後は、付箋に書いた内容に主語を足したり2つに分けた方が分かりやすい付箋を書き直したりします。

2.切片のグループ化

付箋全体を眺め、似ている、近しいと思われるものを集めてグループ化します。
例)インスタグラムで有名人がシェアした絶景を知る
例)絶景スポットでググる これはグループに入らないと思うものを無理にグループに入れる必要はありません。

3.表札を作る

グループの付箋を抽象化し、それを表す表札(ラベリング的なもの)を作ります。
例)絶景に行きたい すぐに表札を作ると他の付箋が入らなくなるので、だいたい3分の2くらいがグループ化できた時点で表作を作ります。

4.ステップを作る

表札を含めたグループを時間軸などで並び替えて、ステップ(表札を一言で表したもの)を書き出します。
例)きっかけ

5.ステップを元にスタートとゴールを決める

6.タッチポイントを書き出す

ユーザーの行動との接点となる部分を作ります
例)インスタグラム
例)友人

7.思考・感情を書き出す

行動に紐付いた意識的・無意識的なユーザーの思考や感情を付箋に書き出します。
例)絶景で感動したい、癒されたい

8. 感情曲線を記入

感情の絶対値は決められないので、相対的に判断します。
感情がネガティブだったのかポジティブだったのかを視覚的に表すイメージです。

9.分析

感情曲線のラインが上がっている部分と下がっている部分に注目して分析します。

つまずいたところ

キーワードでグルーピングしてやり直しに

私たちのグループは、ここで一番つまづきました。沢山の切片が書かれた付箋を前にして、じゃあ、グルーピングしてみよう!となったのですが、気づくと「行動」にフォーカスしたグルーピングばかりになるという事態に。
グルーピングと言われると、無意識に似たようなキーワードを集めてしまっていました(勉強したいと思う、何か始めたいと思う→「きっかけ」のような形です)。カスタマージャーニーマップのグルーピングは「文脈」にフォーカスしてグループを作っていくので、切片にある行動を「なぜ」したのかという観点で改めてグルーピングをやり直すことになりました。

ユーザーってそんなこと言ってましたっけ?

表札作りをする時、「文脈」を意識しすぎて今度はユーザーが言っていない妄想まで付箋に書いてしまいそうな雰囲気になってしまいました。グルーピングが正しいか、そこから読み取れる「文脈」は?ということを全員で議論して色々な人の目を入れて、可能な限り客観性を持たせることで妄想は防ぐことができると思います。
グルーピング、表札付けは特に議論に時間をかける部分だと感じました。「文脈」を妄想してしまうというのは、他のグループのへのレビューの際にも注意点として挙げられていました。

ヒアリングが足りてない!

さあ、表札ができたのでステップを作ろう!という段になって、「あれ?ヒアリング不足で要素が足りていない・・・」ということに気づきました。私たちのグループでは、カスタマージャーニーマップのスタートは決められたものの、ステップが足りずにゴールが曖昧に。「ユーザーの行動のゴールって、本当にここだったんだっけ?」という違和感満載のカスタマージャーニーマップに・・・お手上げ状態でいたところ、ファシリテーター登場。今回は追加ヒアリングを特別にさせて頂くことができました。
追加でヒアリングをした内容は、ユーザーがある行動をなぜしたのか、目的を達成した後になぜその行動をしたのか、そこにはどんな思いがあったのかなどです。
追加ヒアリングのおかけで、だいぶ文脈の見えるカスタマージャーニーマップになってきました。

モヤモヤしているうちに全員無言

グルーピング、表札作りの際に全員でよく議論しないまま進んでしまい、なんだかみんなモヤモヤしているうちに誰も話さなくなっていく・・・会議とかでも起こりうることかと思います。全員納得することは難しいですが「ユーザーの行動ってこう言うことだよね」という合意形成をしていくことが重要だと感じました。
考えてみれば、グルーピング、表札を元に全ての項目が派生していくのでここで全員が議論できる土壌を作っておかないとその後の議論がうまくいかないのは当たり前ですよね。こうなってしまった原因の一つに、作業の役割分担があります。今回は制限時間もあり、ユーザーインタビューも3人と多かったので、たくさんの付箋を効率良く処理しようと役割分担をしてしまったことに敗因があります。

よかったところ

画像3
とにかく、いろいろなところにつまづきながらでしたが、カスタマーストーリーマップが無事完成したところです(それが目的だったので当たりまえですが)!全くすんなりはいきませんでしたが、様々な課題に気づきながら話し合って乗り越えて、つまずいたからそこで色々な学びがあったように思います。ちなみに、事業企画者からのレビューでは、「このグループは最後の追い上げが凄かったですね」と言われました・・・笑。紆余曲折っぷりが伺えます。

まとめ

ヒアリングが足りていないとステップ作りでつまづくので、事前準備が大事。

ヒアリングが足りていない、という声は後々のグループごとの発表で、他のチームからも聞こえてきました。 今回私たちは事前準備ができませんでしたが、実際にユーザーインタビューをする時は社内の人にインタビューをして項目の精査をするといった手順も必要です。また、実際のカスタマージャーニーマップ作りでは、足りなかった部分を元に追加でインタビューをやり直して要素を足していくようです。

「文脈」にフォーカスする

と、言っておきながら私もできる様になったとは言えないです。意識していきながら場数を踏んでできるようになっていくものなのかなと思っています。まずは「行動」に寄って考えすぎない様にするというところが最初のステップだと思っています。

全員で議論、合意形成をしながら進める

その日初めて会った人たちとカスタマージャーニーマップを作るという難しさはありましたが、やはり全員でそのグルーピングが正しいのか、表札が正しいのかを議論するんだ!という意識が重要です。正解は何かということを考えて慎重になってしまうかもしれませんが、全員で議論することで意味のあるカスタマーストーリーマップになると感じました。自分が議論に参加するというのはもちろんですが、周りも議論に巻き込むという姿勢が重要だと感じました。

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